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無香料製品選びで知っておきたい パッケージ素材が内容物に与える影響

Tags: 無香料, パッケージ, 成分移行, 吸着, 透過, 製品選び

無香料製品を選んだにも関わらず、製品からわずかな「変な臭い」を感じた経験はないでしょうか。それは、原料本来の臭い(原料臭)である場合もあれば、製造過程でのごく微量の香料の混入(キャリーオーバー)である可能性も考えられます。しかし、もう一つ見落とされがちな要因として、製品を詰めている「パッケージ素材」が内容物に与える影響が挙げられます。

パッケージ素材が内容物に与える主な影響

パッケージは、製品を保護し、品質を維持する重要な役割を担っています。しかし、パッケージ素材と内容物の間では、目に見えない相互作用が起こることがあります。無香料製品の品質、特に「香り」に関連して問題となりうる主な現象は以下の3つです。

  1. 移行(Migration) パッケージ素材を構成する成分や、製造時に使用された添加剤(例:可塑剤、安定剤、インク成分など)が、時間経過とともに内容物へ移動する現象です。これらの成分自体が特有の臭いを持つ場合や、内容物中で変質して臭いを発生させる可能性があります。特にプラスチック素材では、素材の種類や内容物(油分など)、保管温度によって移行のリスクが変化します。

  2. 吸着(Sorption) 内容物中に含まれる成分(例:製品の有効成分、あるいは原料本来の臭い成分)の一部を、パッケージ素材が吸い込んでしまう現象です。これにより、内容物の有効成分濃度が低下したり、本来の原料臭がパッケージに閉じ込められたりすることがあります。特定の香料成分や揮発性の成分は吸着されやすい傾向があります。

  3. 透過(Permeation) 外部のガス(酸素、水蒸気など)や、空気中に漂う臭い成分がパッケージ素材を通り抜けて内容物に入り込む現象です。これにより、内容物が酸化したり、外部の不快な臭いが製品に移ったりする可能性があります。特にプラスチックフィルムは、素材の種類によって酸素や水蒸気、臭い分子に対するバリア性が大きく異なります。

これらの現象は、製品の品質劣化や、無香料であるはずの製品に意図しない臭いが発生する原因となり得ます。

主要なパッケージ素材と影響の特徴

パッケージ素材の種類によって、これらの現象の起こりやすさや影響の種類が異なります。

無香料製品を選ぶ際にパッケージについて意識すること

成分表示だけでは、パッケージ素材の具体的な種類やその品質までを知ることは難しいのが現状です。しかし、製品選びや使用において、以下の点を意識することで、パッケージからの影響を最小限に抑えるヒントになります。

まとめ

無香料製品の品質は、内容成分だけでなく、それを包むパッケージ素材にも大きく左右されます。パッケージ素材からの成分移行、内容成分の吸着、外部からの臭いの透過といった現象は、無香料であるはずの製品に意図しない臭いをもたらしたり、品質を低下させたりする要因となり得ます。

製品の成分表示を確認することに加え、パッケージ素材の特性や製造メーカーの品質管理体制に意識を向けることで、より安心して使用できる無香料製品を見つける一助となるでしょう。パッケージは、単なる容器ではなく、製品の品質を守るための重要な要素であることを理解し、賢い製品選びに役立ててください。